Think Bee!の総合カタログ「Bee! Collection vol.12」 2015年11月号より、会長(河合 史郎)の連載記事をアーカイブしたものです。
絵筆を刺繍針に変えて
シンクビー!の刺繍作品は、中国・汕頭(スワトウ)地方にて作られています。母親から娘に、娘から次の世代へと伝えられて来たスワトウ伝統刺繍工芸技術は 18世紀に一人のイタリア宣教師によって伝えられた、ヨーロッパの刺繍技術が始まりでした。スワトウ刺繍はハンドメイド、手作業による刺繍技術です。
多くの刺繍商品が機械刺繍で作られる現在、スワトウ地方でも手刺繍職人は少なくなり、一つの作品に3ヶ月以上もかかるようなスワトウ刺繍は今では貴重品となりました。膨大な色数を記憶しながら1針1針丁寧に素早く刺していく、世界的にも類を見ない繊細な刺繍技術を初めて目の前にした時、素晴らしい人間の無限な力を感じました。
この忘れられようとしている「手作り感」を現代に蘇らせるために、様々な開発が必要とされています。
シンクビー!はカラフルな刺繍糸と独創的なデザインで、新しいスワトウ刺繍技術に挑戦しました。更にビーズを加えたリスワロフスキー・クリスタルを付加しながら複合立体的に!絵画を描くように、彫刻を彫るように、刺繍針を刺していきます。シンクビー!とスワトウ刺繍のコラボレーションにより、スワトウ地方の手刺繍技術を継承していく事が、シンクビー!の目指すところです。
着物ハンカチなどで一世風靡した、伝統のスワトウレースの繊細な技術を絶やすことなく後世に伝えるためにも、
シンクビー!は新しいアイデアを提案していきます。もちろんデザインにおいても世界各地を駆け巡り、様々な題材をテーマに研究してきました。パリのエッフェル塔・ヨーロッパのお花畑・夜空の雪の結晶・王冠・ティアラ・メキシコの農村風景・・・。題材は尽きること無く絵画を描くように絵筆を刺繍針に替え、絵の具を刺繍糸に替え、シンクビー!の作品が生まれます。 18世紀にヨーロッパから伝えられた刺繍技術は、とてつもなく進化を遂げて21世紀の立体的な刺繍技術となりました。
これからも様々な創造力で新しいシンクビー!刺繍作品が生み出されると信じています。初めてスワトウに訪問して40年以上。仲間にも恵まれて、今日バッグや財布などにスワトウ刺繍が継承され、お客様にも大きな評価をいただいております。皆さまへの感謝の気持ちとともに、絶えることの無いテーマと創造力、キャンバスと絵筆、絵の具さえあれば、作品は次なるステージへと進化し続けることと思います。