Think Bee!の総合カタログ「Bee! Collection vol.9」 2014年11月号より、会長(河合 史郎)の連載記事をアーカイブしたものです。
世界各国から素材を求め集める。
1990年が幕を明けた2月の寒い日、株式会社はちやの二代目であった父が世を去りました。わずか5ヶ月の病床の末のことでした。私は42歳、すでに社長に就任していましたが、惜別の情も含め様々な思い出があります。
昭和26年、まだまだ戦後の雰囲気が残り、情報源と言えばラジオ放送・新聞のみの時代に、鹿児島から現在の本社の地にThink Bee!の本拠地を作り、今日の基礎を構築した二代目の勇断は、多様な決断がある中で、Think Bee!にとって最も大きな出来事であった、と思うこの頃です。あれから63年が経った現在でも、二代目が発したメッセージ『不満から前進は生まれない!』は生き続けています。
呉服業界が全盛期の1990年代は、和装小物の作品がメインとして次々に企画された時代でした。多くの呉服地の柄の選定と、色の組み合わせの妙味、こだわりは、現在のThink Bee!作品の源となっています。柄の複合・色の複合は長い日本文化の中で生まれた世界唯一の感覚。中でも中国スワトウレースを使った作品は当時の最先端の作品でした。
インディゴ・ブルーに染色された清涼感溢れる夏のバッグは京都・東京の大卸問屋を通じて全国を駆け巡り、販売されました。染色に明け暮れ、中国スワトウレースの買い付けに奔走する毎日・・・。おかげで他社のどこよりも早く様々な中国の情報が入りました。
そして、欧州の素材を使った和風作品の開発も展開し、バッグにこだわらず様々な海外素材を使用した和風作品は、逆輸入の面白さとエスニック・ブームが重なり、独特のオリジナリティを持ち味に全国で販売されました。Think Bee!作品は海外の素材を中心に企画され、現在も「世界中から素材を集める!」という姿勢が基本となっています。
欧州の素材で和風のモダンな作品を提案する。アジアの素材でエスニックな和風を演出する。それは、日本素材をノーマルに使って販売していた呉服業界には、斬新だったのでしょうね。時代はドイツ、ベルリンの壁崩壊からバブル経済の終焉を期に、グローバル化が急速に始まり、 Think Bee!は海外との関係を着実に構築し、貿易部の設立となります。