Think Bee! NARRATIVE

1970年 ~ 生地を求めて~ 世界の扉を開ける

2023.09.06
歴史

Think Bee!の総合カタログ「Bee! Collection vol.5」 2013年9月号より、会長(河合 史郎)の連載記事をアーカイブしたものです。

~生地を求めて~ 世界の扉を開ける

22歳(1969年)の入社当時、デザイン学校も無く、徒弟制度の職人の世界。物を作る人はいましたが、デザインを考える社員がいない時代でした。訳もわからずいきなり「何か考えろ」と言われる中、デザイン人生がスタートしました。
その後、「おそらく世界中には色々な布地がある!」をきっかけに「世界中を見てやろう!」に変わっていきます。時差ぼけする暇などありませんでした。よくぞ、海外仕入れを任せていただいたと、今更ながら二代目社長に感謝の気持ちです。全力で走ると必ず運と縁が向こうからやってくるのです。

中でも初めてのニューヨークには度肝を抜かれました。羽田→アンカレッジ→ロスアンジェルスと乗り継ぎ、命からがらニューヨーク(ケネディ空港)に到着。クィーンズボロブリッジをバスで渡り、憧れの夜のマンハッタンを目にしたときは、キラキラとした光と建物が交差し、人間が作り上げた最高傑作だと思いました。

とにかく情報の無い時代、頼るはガイドブック1冊のみ。それを握りしめ、マンハッタンを隅から隅までヘトヘトになるまで歩き続けた記憶は今でも鮮明に残っています。マンハッタンは360度、24時間営業していました。音と匂いと強烈なパワーとスピードと国力の豊かさ、凄さを感じながら、毎晩ブルーノート、ビレッジヴァンガードといったジャズ・スポットを巡り、小劇場にも足を運びました。
さらに、ブランドショップのディスプレイから、見たこともない色彩感覚を吸収し、混沌とし雑踏・人種のるつぼを「何でも見てやろう!」という気持ちでした。人生に休む暇などありません。

あとから考えると近未来の東京がそこにあったのです。